戦争 9 |
「731部隊」展示を撤去
一方、京都大医学部(京都市左京区)では、大戦中の医師の犯罪的行為を巡る展示が撤去された。1902年築の歴史ある旧解剖学講堂を改修し、昨年2月にオープンした資料館。野口英世の博士論文の複写などと共に注目された展示品が、大戦中に人体実験を重ね細菌兵器を開発していた旧日本陸軍の秘密機関731部隊に関する説明パネルだった。
中国各地で細菌兵器を実戦使用したとされる同部隊は、京大医学部とつながりが深く、言わば「負の歴史」だ。「戦争に加担した歴史にようやく医学部として向き合う試みだ」。京都市内の医師で医学部OBの吉中丈志さん(62)は展示を高く評価していた。
しかし、約2カ月後に再訪した吉中さんは目を疑った。館内の一番奥にあったはずの展示が姿を消していた。不審に思い調べると、開館間もなく撤去されていた。
外された展示は、「京都大学医学部病理学教室百年史」(2008年刊)の記述を引用したパネル2枚。卒業生の石井四郎部隊長らによる部隊創設の経緯や、京大医学部が積極的に人材を送り込んだ歴史に触れ、「医学部として検証が必要」と記していたという。
取り外した理由について、京大医学部の総務担当者は「単なる展示替えで、撤去ではない」と強調。館長の萩原正敏教授は「取材には応じられない」と事務を通じて回答した。だが、内情を知る医学部関係者は「展示は不適切と有力OBらから物言いが付いた」と明かす。
吉中さんは「医学部も変わったと思ったが、こっそり事実を隠すとは情けない。戦後70年たってもタブーとは驚きだ」と残念がる。
731部隊については資料が廃棄されたり、関係者が戦後免責されたりしたため、実像は今なお不明な点が多い。滋賀医科大の西山勝夫名誉教授(72)は、731部隊に関わった京大医学部卒業生11人が戦後の1960年まで、戦時中の研究成果によって医学博士の学位を取得していたことを昨年までに突き止めた。京大や国立国会図書館に残っていた論文、学位授与記録などを調査した。
中には、人体実験を行ったことが明らかな人物もいた。学位を審査したのは、彼らを戦場に送り込んだ教授たちだった。西山さんは「当時は研究費が乏しく軍事研究が魅力的に映った面もあっただろう。戦時中の出来事として片付けるのではなく、医師らが悪の道に加担した経緯や理由を徹底的に検証しなければ、同じような過ちは繰り返される」と語る。【河内敏康、千葉紀和】
毎日新聞
この記事で特に注目したいのは
「展示は不適切と有力OBらから物言いが付いた」
731部隊に関わった京大医学部卒業生11人が戦後の1960年まで、戦時中の研究成果によって医学博士の学位を取得していた
人体実験を行ったことが明らかな人物もいた
学位を審査したのは、彼らを戦場に送り込んだ教授たちだった
人体実験には、いじめの快楽が伴っているはず
無抵抗の者を、酷い目に合せる快楽
この快楽の存在が、不合理な戦争の遂行を可能にしていく
731部隊の展示を撤去させていくシステム
これは良くある通常のパターン
体制の属性として存在するパターン?
大学の組織は、体制からの圧力に弱い
これを利用して、それなりの組織の上部の者が脅しをかける
撤去はその結果でしょう
教育の組織は、ごろつきたちの脅しに弱いのですね